対局の概要
渡辺明名人に絶妙の受けの好手が飛び出して、87手にて藤井聡太竜王に勝利し、今期の七番勝負で初勝利を収めました。これで渡辺名人の1勝2敗となります。
次の第四局は、5月21日(日)・22日(月)に福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」にて行われる予定です。
ハイライト
今回の対局は、藤井竜王が角交換を拒んで雁木模様に組んだというところから始まりました。その後、封じ手の前後でも形勢はさほど動かず、2日目のお昼過ぎまでは形勢はほぼ互角といったところでした。しかし、藤井竜王の角切りから一気に局面が動き出します。
藤井竜王はその後も渡辺名人の玉を攻め続け、あと一歩のところまで追い込みます。しかし、渡辺名人は好手を連発して見事に受けに成功し、逆にカウンターを決めて藤井竜王の玉を追い詰めることに。最後は即詰みに入ったところで藤井竜王が投了することとなりました。
感想
今回の対局については、渡辺明名人の、名人としての意地が垣間見えた印象です。あの底歩打ちがなければ一気に形勢が悪くなっていたであろうことは想像できますし、ここを逃したら渡辺名人はこの対局も負けていたかもしれません。ただ、底歩を打ってしのぐなんてことは素人にはとても思いつきませんし、他の手の方が有力そうだとさえ感じてしまうほどです。
一方、藤井竜王は、あの角切り以降の急襲が結果としては無理筋となってしまいました。無理矢理切るくらいなら、おとなしくかわすにとどめる方が良かったという結論に達しているようです。ただ、本人も難しい将棋だと考えておりましたし、渡辺明名人の受けの数々もあまり見えていなかった(見えていたとしても過小評価していた)と思われます。次回以降の対局に、この一局で考え抜いたことが活かされるでしょうか。
ともあれ、渡辺名人のストレート負けもなくなりましたし、第四局以降も面白い対局が期待できそうですね。