先日、たまたま夕方頃より出雲大社近辺を歩いていたところ、ショッピングやグルメを楽しんだり、バスに乗り損ねたりするなどして、あっという間に夜が来てしまった。その時に撮った写真が上のものである。
この鳥居は、実を言うと、大社の長い歴史の中ではごく最近に出来上がったものである。鉄筋コンクリート製ということからも、近代建築の技術が活かされていることが分かる。
1915年、島根県出身の実業家である小林徳一郎氏がこの大鳥居を寄進してくださったという。額面の「出雲大社」という文字は、出雲大社の元大宮司であった千家尊福(せんげ たかとみ)氏の筆によるものだそうだ。((千家尊福氏は、大社の境内に銅像が建てられているというくらいには大社近辺の発展に尽力なされた方であり、政治家としても長く活動された方でもある。))
国鉄大社線の開業(1912年6月)を契機に神門通りが形成され、それとともに鳥居を寄進するという機運もでてきたのだろう。「大社だからこそ、立派な鳥居を」という思いもあったのかもしれない。その結果だろうか、2015年には国の登録有形文化財に指定されている。
何であれ、鳥居にしてはかなりの大きさを誇っているので、見る者を圧倒してくれるのは間違いない。昼間であっても夜間であっても、その豪勢な佇まいは感動の一言である。吉兆館(道の駅 大社ご縁広場)や旧JR大社駅を巡るついでに、是非訪れてみてはいかがだろうか。
おまけ(夜の神門通り)
夜の神門通りの閑散ぶりがよく分かる一枚である。乗用車がわずかに通り過ぎるだけの通り道と化しており、参拝する客の姿は既に見えない。((なお、出雲大社の境内自体は20時まで開かれている。))
ちなみに、神門通りには電柱が一切存在しない(電線等は地中に埋められている)。だからこそ、このようにノスタルジックかつ開かれている景観が、形成から100年以上が経った現在、ものの見事に味わえるようになっているのだろう。
昼間のにぎやかな光景も良いものだが、夜のこの雰囲気も乙なものである。