今回のNHK杯の対局は、受けの技術に定評のあるベテラン棋士(木村一基九段)と切れ味鋭い攻め筋が特徴の若手棋士(大橋貴洸七段)という、面白い組み合わせとなりました。この一局を制したのは木村九段で、攻めと受けの両方において上回った印象です。
木村九段の勝因は、もちろん受けが正確だったこともあるでしょうが、何といっても歩や「と金」を用いた攻めが効果的だったことが大きいと思います。「と金」こそすぐに払われてしまいましたが、後手玉の守備がバラバラになってしまい、弱点を露呈してしまう形となりました。その結果、先手の攻めが届きやすくなりましたね。
大橋七段としては、勝算ありと見て先手陣に切り込みましたが、早い攻めが結果的に勇み足となってしまいました。攻め筋も細くなってしまったところを木村九段に見事に突かれて、あっという間に後手玉がピンチに追い込まれました。勝負手に対しても正確に受けられ、最後には後手玉が即詰みに討ち取られてしまいました。
今回の対局で勝利した木村九段は、二回戦で稲葉陽八段と対局します。実力者同士の一戦であり、引き続き熱戦が期待できそうですね。
次回の放送日は5月21日で、伊藤匠六段と勝又清和七段の対局が放送される予定となっています。期待の若手が優勢に立つか、ベテラン棋士が粘りを見せるか。次回の対局も注目ですね。