対局の結果
渡辺明名人に藤井聡太竜王が挑戦する 第81期名人戦七番勝負第4局が、5月21、22日(日・月)に福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われ、藤井竜王が69手で渡辺名人に勝ち、3勝1敗としました。
第5局は、5月31・6月1日(水・木)に、長野県上高井郡「緑霞山宿 藤井荘」で行われます。
渡辺明名人VS藤井聡太竜王 第81期名人戦七番勝負第4局 藤井聡太竜王の勝利|将棋ニュース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
ハイライト
前回の対局に引き続き、今回も後手側が雁木模様の指し手で動き出しました。少し前まで流行していた「角換わり」が今回の七番勝負で一度も採用されていないというのは、流行の移り変わりの兆しなのでしょうか。
ともあれ、お互いに出方をうかがいながら指し手が進んでいったところで、先に仕掛けていったのは後手の渡辺名人。しかし、そこをうまく対処されてしまい、結果的には後手の攻めが先手の攻めを呼び込んでしまう形となってしまいました。
お互いに角がぶつかり合うなどの激しい攻めが展開されましたが、後手に王手飛車などの筋が生じてしまうなどの大きな隙ができてしまったこともあってか、69手目で後手玉に初めての王手がかかった後、渡辺名人が投了となりました。2日目の夕食休憩前という早い決着となり、手数も70手に満たない短いものとなりました。
投了図を見たところでは、互いの陣地には駒が結構残っているにもかかわらず、駒の配置について後手の弱点だけが強調されてしまうようであり、後手の指す手が全然なくなってしまったような印象でした。渡辺名人の完敗、藤井竜王の圧勝といったところですね。
感想
正直、こんなに早く決着がつくとは思ってもいませんでした。見ている側としてもかなり衝撃的な結末でしたが、渡辺名人本人も結構きつい思いだったかもしれません。おそらく、第2局のときと同じくらいか、それをはるかに凌駕するほどの厳しさであったことでしょう。
封じ手前の指し手(38手目)について渡辺名人は悔やんでおりましたが、形勢の良し悪しは素人目には分かりづらいものでした。それに、藤井竜王が緩手を指してしまえば、形勢は一気に逆転する可能性さえあったように思います。
逆に言えば、藤井竜王が変な手を指さずにほぼ最善を尽くした形となったわけで、今対局は本当に藤井竜王の指し手の正確さや素晴らしさだけが強く印象づけられるものとなったように思います。
藤井竜王は次の第五局を勝てば名人位の戴冠と七冠達成となります。渡辺名人としてはできるだけ阻止したいところですが、今後どのように運ぶか非常に気になるところですね。