先日、境港市へ足を運ぶ際に利用した「境線」。米子駅から境港駅までをおよそ40分で結んでいる単線の路線だ。ここに乗車したときの感想、路線情報等を簡単にまとめることとしたい。
境線と「ゲゲゲの鬼太郎」
漫画家の水木しげる氏の生誕地が境港市ということもあって、境線内の各駅には同氏作の『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する妖怪の名前が愛称として付けられている(例えば、米子駅は「ねずみ男駅」、境港駅は「鬼太郎駅」)。また、国鉄気動車47系のラッピング列車「鬼太郎列車」が走っていることでも知られている。
ただし、全ての列車が国鉄気動車47系かというとそうではなく、JR西日本気動車121系・126系が運用されることもある。また、「鬼太郎列車」にもいくつか種類があり、時刻表等ではどの列車が運用されるかは分からないので注意が必要。
なお、上の画像のような「鬼太郎列車」に乗車した場合、鬼太郎、目玉おやじ、ねこ娘の三人による音声アナウンスが流れるようになっている。
運行列車の種別
同線は基本的に普通列車しか走っていない(それも1時間に1本程度)。たまに臨時快速「みなとライナー」が1往復走ることもあるが、最近は日数が少なくなっている。この快速を利用したい場合、事前の確認が必須であろう。
【追記】「みなとライナー」については以下の記事もご覧くださると幸いである。
交通系ICカード利用時の注意
今年の3月16日のダイヤ改正時より、境線の全駅でも各種交通ICカードが利用できるようになった。山陰地区では、山陰本線の伯耆大山駅から出雲市駅までの区間、特急やくもの停車駅である根雨駅と生山駅に続き、3例目である。ただし、始点の米子駅と終点の境港駅を除いては、利用方法がかなり特殊のため、注意が必要だ。
境線を走る列車には、以下の写真にあるようなICカード処理機が備え付けられている。
このうち、青色のパネルにタッチすれば乗車扱いとなり、黄色のパネルにタッチすると料金の支払いが行われる、という仕組みである。青色の方は各乗車口に備わっているが、黄色の方は運転席後部にしかないため、ICカード利用者は必然的に乗務員のそばを通ることとなる。要するに、バスに乗るときとほぼ同じ感覚での利用となる(境線での運用は、基本的に1両か2両でのワンマン運転だ)。
ちなみに、境線の各駅には、山陰本線の無人駅等に見られるような処理機がない。そのため、どんなに面倒臭く感じても、車内の黄色のパネルにタッチしなければならない。おそらく実験的であるとは言え、スムーズに乗降の流れを作るための策と言えるだろう。
感想
短い距離の割に駅の数が非常に多いため(全長17.9kmに対し、米子駅、境港駅も含めて17駅もある)、かなり時間がかかる印象。しかも単線であるために行き違いによる停車も生じる。体感的には、列車としては異常なくらいにゆっくりとしたペースでの移動となるように思う。
また、行き違いが可能な駅が後藤駅、弓ヶ浜駅、中浜駅の3駅しかないために増発も難しい。時間によっては、付近を走る路線バスを利用する方が良いとさえ言える(しかも、所要時間はそう大差ない)。
山陰地区屈指の観光名所「水木しげるロード」の最寄りである境港駅、「米子鬼太郎空港」からすぐの米子空港駅を中心に、利用の需要はそこそこある。にもかかわらず、肝心の鉄道がこんな有様で、路線バスや自家用車を利用する方がマシというのでは、かなり勿体ない。そのうちJR大社線と同様の末路を辿るんじゃないかという心配さえ抱いてしまう。
せっかくの路線なのだから、残せるものならなんとしてでも残しておきたい。今後の動きを見守っていきたいところだ。