藤井聡太竜王が中川大輔八段を相手に危なげなく勝利を収めたという印象です。主導権を渡すことなく、最後は一手勝ちを読み切って後手玉を受けなしの状態に追い込みました。90手にも満たない短手数での決着となり、持ち時間についても藤井竜王は1時間44分と大幅に残しておりました(対する中川八段は残りわずか3分でした)。
局の進行については、中川八段が局後のインタビューで述べていたとおり、中盤から後手が一方的に悪くなる展開となってしまいました。しかし、これは中川八段が弱いというわけではなく、むしろ藤井竜王の指し手がかなり正確であったことによるものでしょう。二次予選から決勝トーナメントに勝ち上がった中川八段も立派の一言ですが、本局については勝利を収めた藤井竜王を褒めるべきですね。
また、中川八段としては「八冠阻止を頑張りたいという気持ち」だったとも述べておりました。もちろん本局では叶わぬ夢となってしまいましたが、将棋に絶対はありません。その上、どんな相手であろうと、しっかりと戦い抜くというプロ棋士としての心意気の感じられる言葉のように聞こえました。前の棋王戦本戦で藤井竜王と対局したときもそうでしたが、中川先生は本当に印象的な言葉を残す方だと思います。
今回の対局で勝利した藤井聡太竜王、次の準々決勝では、木村一基九段と村田顕弘六段の勝者と対局いたします。