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【雑記】「実名による発言には信憑性がある」という文言に信憑性はない

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匿名でやるか実名でやるかは、各々が判断すべきこと

もちろん、先に述べてきたことは、インターネット上での活動を実名で行うということそのものを否定するものではありません。実名を採用する面でも、ネットとリアルの評価が直結しやすいというメリットはあります(ただし、このメリットはデメリットに転化しやすい、というのは既にお分かりでしょう)。匿名であれば、リスクは小さい一方、ネットとリアルの評価が一致しにくいという問題はあります。

こういったメリットやデメリットを天秤ではかって、実名をとるか匿名をとるか、どちらの方が自分にとって相応しいかを考えるのが妥当だと思います。少なくとも、「実名でやっていない人は、みんな卑怯者」「実名でやっているのは売名行為が目的」などと言ってレッテルを貼り付けることだけはしないようにしたいものです。

私自身は、いざ失敗したときのリスクが自分にとってあまりにも大きいものですから、約20年間ずっと匿名で活動を続けています。これこそが自分に相応しい「自制」の形だと思っています。何でもかんでもオープンにして良い、とは決して思っていません。

 

以上のような私の文言を見て、「ああ、所詮匿名の言っていることだからな、信用に値しない」と思う方がいらっしゃるならば、その方は私とは意見が合わないということです。人間誰でも意見が合うとは思っていないですし、主義主張も異なっているはず。それはそれで、致し方ないことではありますね。

 

全体としては良い本だが、件の著述は本当に残念

最後に、冒頭に紹介した本自体の感想を少しだけまとめておきます。

以前紹介した『アウトプット大全』(同著)の流れをくんでおり、全体としては本当に良い本だと思います。著者の自己アピールが少々強いと感じはしますが、自分の知らなかった情報収集法を知ることもできました。そして、何より「アウトプット前提でインプットをする」という視点を得られたのは大きいですね。『アウトプット大全』の出来が良すぎたこともあって、この本で少々落差を感じもしましたが、価格相応の価値は十分あると思います。

それだけに、冒頭にあげたような、「著者の憶測に基づいたとしか思えない文言」があったのは、本当に残念です。本当に大事なのは情報の真偽を自ら吟味する能力です。「実名で言っているから正しい」「匿名で言っているから信用できない」などというのは、名前だけで情報の真偽を判断しているに等しい行為であり、一種の思考停止状態とも言えます。

 

くれぐれも、この記事をご覧の皆さんは「この人の言っていることは全て正しい」などという思い込みを起こさないように、情報に対する「嗅覚」を常日頃から鍛えていただきたいと思います。それさえ心がけてくだされば、筆者冥利に尽きます。

【追記】終わりに(2023/05/01)

SNSの公式アカウントや実名アカウントの不用意な発言などによる「炎上」は、今や珍しいことでも何でもなくなりました。場合によっては活動休止や廃業につながる事例も出てきていますし、そうでなくとも当該アカウントには様々な形で猛バッシングが来ることは避けられません。企業名やブランドなどといった「大きな看板」を背負っていることをすっかり忘れている場合さえあります。

一方、匿名の方が誹謗中傷を執拗に行ったということで、その対象となっていた方(あるいはその関係者)が訴訟を起こしたり警察に相談したりするというケースも出てきています(特に野球界が有名ですね)。あるいは、上記の「桜ういろう」氏のように、匿名を演じていたものの勤務先がバレてしまい処分を受けた、というような事例も決してバカにできません。

いずれにしても、SNSだろうとその他の媒体だろうと、実名だろうとハンドルネームだろうと名無しだろうと、問題となるのは「何を書くか」でしかあり得ません。「書いているのは誰か」は二の次であるべきです。それに加えて、立場や年齢を問わず、情報を外部に伝えるにあたっては細心の注意が求められるようになっています。

匿名だから許される時代はもう終わりを迎えています。いや、そういった時代が来たことさえなかったのですが、この記事を公開した当時よりもかなり厳しくなっているのは確かですね。インターネットに疎かったであろう方々にも意識改革が進んでいっているのが、嫌でも感じられます。

自身の伝えた情報について何の責任もとらなければ、その先に待っているのは大惨事かもしれません。だからこそ、実際に自転車や自動車を運転するときと同様、インターネットに対しても普段から慎重に扱う必要があります。そのことの重要性については、匿名も実名も関係ないのです。

ところで、件の本の著者は、今のインターネットの状況を見て、どんなことを思っているのでしょうね。

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